ユナイテッド93 [映画感想 や行]
あの「9.11」においてハイジャックされた4機中1機だけ目標に到達できなかったユナイテッド93。その乗客、乗務員、犯人、管制官、軍関係者などの「その時」を、ドキュメンタリータッチで描いた作品。あくまで事実を基にした作品なので、全員死亡してしまった乗客や犯人の行動は想像のものでしかない。しかし監督の綿密な調査によるシナリオが、あたかも真実であるかのように私たちに迫ってくる。想像を超えた事件に対応しきれない地上の組織の融通の利かなさを少し批判的にとらえているところはあるが、自爆テロの犯人でさえも一人の人間として描き出していることは評価すべき。そしてこれほどまでに真実味あふれる映像になったのは、監督の手腕によるものが大きい。プロの俳優と素人(ほとんど本人出演)起用の微妙なさじ加減、手持ちカメラを主体とした撮影(一部カメラが主張しすぎているところもあったが)、音声や編集、特殊技術に至るまで、監督のビジョンがしっかりと確立されているからなのだろう、素晴らしい仕上がりになっている。「9.11」を記録したという意義だけでなく、素直に映画としても文句のないものとなっているのではないだろうか。
歓びを歌にのせて [映画感想 や行]
病気で一線から退くことを余儀なくされた音楽家ダニエル。生まれ故郷の村に戻り、聖歌隊の指導をすることになる。ところがそのメンバーは周囲が見れないオヤジとか、補聴器をつけている老婆とか、あばずれと噂の女性とか、声はすごくいいのだけれどダンナに暴力受けている奥様とか、そんな人たちばかり。心の弱さを抱えながらもダニエルの指導により村人が本来の自分を取り戻していく様が見どころだ。それから「罪を自ら作っている」教会への批判的な眼差しが痛い。牧師は最終的に自我崩壊しちゃう。それにもましてやはり彼ら彼女たちの歌は素晴らしい。プロの有名な歌手も参加しているのだが、逆に演技にも違和感はない。そしてラストでの美しいハーモニー。ダニエルの姿を見たとき、涙は自然と流れてくるだろう。しかし特典映像の「ブランチ」のインタビュアー、自分のこと話しすぎ。ちょっと興醒め。












